a reminiscence

The most capacious measure is filled at last.

雨上がり、東の空。 -其之参-


珍しい副虹。副虹が架かった。はっきりと見える虹(主虹)の左側に薄く見える、色が上下逆の虹。虹が出る日の中でも、より条件の良い時にしか観測できないらしい。私は幼少時にこれを見たことがあって、時折友人に話すのだが半分以上の人間は副虹の存在を知らない。こんなに幻想的で美しい風景、いつまでも眺めていたかったのだが「現実」と名付けられたバスの発車時刻になってしまった。バスの中から眺めた虹は、見る見るその姿を消していった。代わりに降りてきたのは、夜の帳。バスを降りると、虹が架かっていたことなど嘘であったかのように藍色が空を埋めていた。