コールスローに般若心経
最近、毎日のようにキャベツの千切りを作っている。
「コールスロー」である。
自分で砥いだ包丁で。
少しは上達したのか、最近は私が砥いだ包丁はギラリギラリと妖しい光を放ち、じっと見つめているとパートさんに「どうしたの?」と言われる。
延々とキャベツを刻んでいて、ふと考えた。
この作業って、「写経」に似ているなぁ、と。
無心で、一つのことを、ただひたすら、繰り返す。
包丁を上げる、下げる、上げる、下げる。
キャベツを刻んでいると、その音が流れ込んできて、自分と言う存在が希薄になっていくような、気分になる。
お経をずっと聞いていると、自分の中にお経が流れ込んできて、お経の中に自分が溶け出していくようなイメージ。
観…自……在………菩…………薩……………はぁ。